類は友を呼ぶ

塾のこと

「類は友を呼ぶ」
私の好きなTV番組に「あいつ、今何してる?」という番組がある。
有名人たちのかつての友人の今を追跡する番組だ。
そして、時折有名学校を卒業した人たち(芸能人ではなくあくまで素人さん)の現在が放送される回もある。
最近は福岡県下TOP高修猷館高校の卒業生の今を追跡していた。
修猷館と言えば偏差値70越え。福岡市では、福岡高校・筑紫丘高校と共に御三家と言われている。北九州を入れれば東筑。この高校はまさに文武両道。甲子園にも何度も出場しており、また、名優高倉健さんの母校としても知られている。ちなみに私の姪も東筑。
ここで、姪の話を出すにはまあ、理由があります。

さて、話を戻そう。
その修猷館で長年教鞭をとっておられる先生が、一人の学生の名をあげました。
天才だった。円周率は確か300桁まで覚えていましたと。
番組がその学生の現在を追跡した結果、アメリカ在住。NASA勤務だった。
ゲストたちは一様に「はあ!すげえ~」と感嘆の声をあげていた。
彼は幼い頃からとても数字に興味があったらしく、幼稚園の頃は、友達と、倍数をどこまで言えるか競走したという。
2・4・6……とずっと続けて4桁か5桁まで行った記憶があると。
そして、その友達は現在は外科医らしい。
「はあ、やっぱりね~」と、またもやゲストが感心する。
まさに類は友を呼ぶである。
私がこの話を中学生にしたら、「ナ、ナサ?」とA君。
「πで十分」と、B君。
「倍数言えたら外科医になれるんですか?」とCさん。
「そんな遊び全然おもしろくない」とDさん。
もう、返す言葉がなかった。つまり、その、知的好奇心が後の人生に役立つのだということを私が言いたいのだということに彼らは考えが及ばない。
まあ、一人の生徒はそれでもNASAを知っていたから、少しは安心したのだけれども。

さて、ここで、東筑の話を。
昨年私は脳腫瘍摘出術を受けるべく、日赤に入院した。
私のいとこは、それこそ、修猷館卒業後九大医学部に進み、今は開業医となっている。
両親の入院の時などは色々相談に乗ってもらっていたが、今回は私自身。
すると、脳外科に知り合いはいないけれど、日赤の院長は九大で同期だった。一応よろしく頼むと電話しておくよと言ってくれた。
院長は、わざわざ私のベッドに来てくれて、腕のいい先生が執刀してくれるから安心してくださいと、おっしゃった。で、いとこが、もしかしたら姪家族が北九州に住んでいることを事前に話していたのかもしれない。「私は、東筑なんですよ」と院長の方から話された。
「そうですか! 私の姪も東筑なんですよ」と、私。なんでも北九州には、腐っても鯛ならぬ腐っても東筑という言葉があるらしい。
また、私のリハビリを担当してくれた男性は我が母校福岡中央出身だった。「先輩!患者さんで僕初めて先輩に会いました!」と、声が弾んでいました。
見ず知らずの人間同士が卒業した高校が同じということでこんなにも距離が縮まり、お互いを認め合いお互いの母校に誇りを持てるということは、とても素晴らしいこと。

朱に交われば赤くなるという言葉もある。
教養を身に着け知的好奇心を持ち合わせている友人がいれば、自然と自分自身も成長していくかもしれない。
しかし、テスト前に部活もないし、どこか遊びに行こうぜと、勉強そっちのけで外出したり、アイドルの話で盛り上がったり、スマホで夜遅くまで音楽聞いたりして、それを楽しいと感じてしまう友達関係では、そこに何の生産性もない。
それに、いち早く気づくのは誰だろう?
一人でも、気づく人が現れれば、そうか、そうだよな、今、自分たちがすべきことは、こんなことではないはずだと、後を追う生徒も出てきてくれるかもしれない。
いい意味での、類は友を呼ぶ・朱に交われば赤くなるという諺を私が使える日が来るかもしれないと、淡い期待を抱こう(笑)

プロゼミ 小川

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